輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《松のや露八(まつのやろはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,597 字 · 253 頁
三
「ふしぎだ。……いくら相手が、榊原でも」
彼は、不合理と取っ組んで、じっと、半日坐りこんでいた。すると、
「兄上、どうなさいました」
弟の八十三郎が、起きだして来て、彼の蚊帳坐禅をのぞきこんだ。
三
「どうもせぬ」
「お暑いでしょう、蚊帳を吊ったまま――」
「やぶ蚊めが、うるさいのだ」
「昨日は、風邪で、道場へ参れず、残念でした。しかし、おめでとう存じます。先刻、叔父御の声を洩れ聞きますと、明晩は、ご披露のお祝いとやら、拙者も、病床を上げてしまいました」
すべてが、庄次郎には、皮肉に聞こえた。
「おい、弟。――おまえの部屋に、新刷の武鑑があるか」
「誰方を、お調べなさるので」
「榊原」
「榊原家は、何軒もございますが」
「健吉と云った。榊原健吉、御家人か、藩士か、何役だ」
「あの人なら、武鑑を見るまでもございませぬ。人斬り健吉で通るくらい」
「そんな有名な奴か」
「念のため、見ましょうか」
部屋から持って来た大成武鑑の三の部をひらいて、八十三郎は、読むように聞かせた。
「榊原健吉、講武所教授方出役、百俵十人扶持、下谷三枚橋常楽院裏――と。かようです」
「ふウむ……」
不合理の我が、ぽきと、首を折られた。