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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
新兵衛は、いちど去った。そして近くの徳川教氏や大関平馬の門へ告げて、それぞれ家来を糾合し、出迎えの列を揃えて、そのさきに立った。
徴税使の下向ときくと、どこの領土でもこの頃は、またかと、おののいたものである。大戦いらいの出費に次ぐ出費から、幕府としてもムリは承知で諸国へ苛烈な追徴の使をのべつ派遣していたところなのだった。
「いざ、どうぞ」
新兵衛たちは一行四、五十人の徴税使をつれて世良田へ入った。といっても、義貞の居館へではない。その隣の“館ノ坊”とよぶ寺だった。
館ノ坊と、義貞の館とは、べつなようで一つでもあった。徴税使の宰領ふたりは、やがてその陀羅尼院の客殿におさまった。そして新兵衛から、
「ほどなく、脇屋どのが、ごあいさつにお伺いいたしまする」
と聞いていたが、しかし当の脇屋義助は、いつまで見えはしなかった。のみならずその夕、義貞の館では、いよいよにぎやかな端午遊びの笛太鼓だった。
「耳ざわりな」
と、ふたりの徴税使は、にがりきって、
「なんだろう、あの無遠慮な、浮かれ囃子は」
と、陀羅尼院のうちから、義貞の館のほうを、木のま越しにうかがって言っていた。