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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

里見新兵衛であった。またすぐうしろに、武者えぼし、狩衣すがたの、かっちりと肉のしまった面ざしをもった二十六、七歳の人が来て、新兵衛を下においたまま、ずっと室内へさきに通って大きく坐った。

「脇屋殿でいらせられます。御当主の弟ぎみ、脇屋の二郎義助さまで」

新兵衛が、両使へ言った。

つづいて、その義助が、あいさつを述べた。そして、いかなる政所命か、兄義貞は病中なので、自分へ仰せ聞けられたいと、いんぎんに言った。

ことばは、なるほど、いんぎんであったが、しかし脇屋義助のからだからは、昼からの酒がふんぷんと匂っていた。それだけでも、むかっと、相手は反撥を持つに充分だった。――で、黒沼彦四郎伴清がまず政所ノ状をとりだして読みきかせ、状はそのまま義助へ手わたされた。

銭五万貫

五日ノ内ニ上納ノ事

右、領主庄家、一致シテ違反ナカルベキ旨、御上意也

と、いう令であった。

「……脇屋殿」

「は」

「いつまで、無言でおいでられるか、お受けのことばは?」

「出てまいりませぬ」

「出ぬとは」

「何ともお受けあいいたしかねまする」

「なにお受けできぬ? これは聞き捨てならん」

黒沼と明石の両使は、ひらき直った。