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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
なにしろ、世良田を中心に、いたるところこの騒ぎと悲鳴でない村はない。
「なに、なかには公命に応じぬ輩もあると申すか」
徴税使の出雲介と彦四郎は、部下五十人に加え、近くの国府から国府役人の手までかり出して、世良田の辻に、仮の税物収納所をおいていた。そして、不穏な声をきくとすぐ兵をやって、
「さような奴は、家族どもをひっくくれ」
と命じ、また、
「家に土倉を持つ者なら、その土倉や納屋に封をして、稼業も差し止めい」
とばかり、終日諸所方々へむかって、馬ぼこりをけむらせ、有無をいわせず、権力の遂行をほこっていた。
こんな恐怖の日も暮れた七日の夜である。――七日の半月が空にあるほか、世良田をはじめ、新田ノ庄の闇は声もなかった。その眠りのなかで領民たちは、鎌倉の吏の苛烈を怨むより以上に、世良田ノ館をうらんでいた。どうして、ご領主たるものが、よそ事みたいにこれを黙って視ているのであろうかと。
すると、夜半すぎだった。
「な、なんじゃろ」
「あの人声は?」
世良田の民は、大地震かとでも慌てたように、寝まき、はだしのままで、みな外へとび出していた。
いくさだ、いや火事だ、と彼らの識別もまださだかでないうちだった。