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やそうざっき・やちょうざっき

野草雑記・野鳥雑記

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《野草雑記・野鳥雑記(やそうざっき・やちょうざっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,016 字 · 284 頁

青空文庫

と呼んでいるのは判らない。遠く離れて鹿児島県の種子島に、エングヮという名があるというのがもし事実ならば、何か今一つ輸入当時からの名があって、それが東北の一隅には伝っているのである。新潟県では『中越方言集』の記載によれば、鳳仙花をツマグレナイまたはホネノキと呼んでいる。ホネノキは骨抜きの意というが、それだけではまだ説明にならぬ。あるいはこの草の実が自然に弾けて、ひとりで飛んで出ることをヌゲルというのではないかと思う。四国では阿波の祖谷山でこの花をノギノギ、土佐でも東部の山村にはこの名があり、あるいはまたノギノ花ノギ流シともいっている。ノギというのは麦の芒のことで、この草の実の形が麦の穂に似ているからだと、説明しているがそれも信じられない。だからまた「脱げる」という動詞に基づいたノギではないかとも想像するのである。

鳳仙花の実がひとりで飛んで繁殖するということは、幼ない観察者にも珍らしい現象であったと思う。九州でも大分市の周囲で、この草をトビグサというのは明かにそれから出た名であり、別にまたトビシャク・トビシャ・トビシャゴなどという名称が、この県を中心に東は対岸の愛媛県、西は熊本県の西端まで流布している。