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やそうざっき・やちょうざっき

野草雑記・野鳥雑記

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《野草雑記・野鳥雑記(やそうざっき・やちょうざっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,016 字 · 284 頁

青空文庫

四

誰か我邦にもポンソンビさんの如き人が現われて、丹念に各地の例を比較してくれるとよいがと思う。私の知っているだけでは、山形秋田の海岸ではこれをノサ、これを樹につるす行事をノサカケという。その日は正月四日でありまた二日にする処もあり、烏が取りに来るか否かをもう省みない土地もあるが、とにかくに藁できれいに飾り物を作り、それに色々の供物を結び付けて、神の樹の枝に掛けに行く風は、荘内以北由利の海岸も一様である。越後も多分そうであろうと思う。これを烏よりも里の子供が楽しみにして、すぐに後から取りに行くことは、近畿地方の烏塚の風習、もしくは渥美半島の山神祭などとも似ている。

四

岩手青森の旧南部領でも、ノサもしくはヌサという語があって、正月八日の前夜にヌサウチをする。打つというのはわらでそのヌサをこしらえることで、これには必ず烏にやる餅を挟むことになっている。三戸郡の村々では、ヌサといっても通ずるが、あるいはこれはヒサゲトシナという家もある。トシナは年縄で、東京でいう注連縄のことを意味し、ヒサゲは手に持って提げることである。普通の年縄はただ張り渡すばかりだが、初山掛けに用いるものだけは、下げて行かれるように取手がつけてある。