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やそうざっき・やちょうざっき
野草雑記・野鳥雑記
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《野草雑記・野鳥雑記(やそうざっき・やちょうざっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,016 字 · 284 頁
初烏のことなど
初烏のことなど
烏はあのような悪らしい面構えの鳥だが、それでも丸っきり来なくなってしまうと、正月は殊に思い出さずにはいられない。近世の歳時記には、ただ早天の鳴き声のみを賞美し、絵では日の出前に五羽か六羽、黒く飛んでいるところを描いて、まず初春の景物としたものであったが、その簡略な景物すらも、今では実景ではなくなってしまった。
最初にはこれが万歳の太夫以上に、我々の正月とは深い関係のあったことを、鳥の方でももうとっくに忘れている。雪の多い東北の村だけでは、旧の暦の二日の朝、あるいは四日の朝にする土地もあるが、農家の主人が自分の田の畔に出て行って、食物を烏に与える風習がまだ残っている。土佐や九州の在所でも、事によると同じことをしているかも知れない。本来は山の神への供物を、烏がお使に来て持って行くものと思ったのか。とにかくそれが食い残されることを非常に嫌って、早くご馳走をするために、この日は朝起きの競争をした。そうしてまた烏を喚ぶ単純な唱え言葉もあったのである。不思議な話ではあるが、その「からす来うい」という喚び声を聞きつけて、必ず山々の烏が降りて来て、白いシトギを口にくわえてあちこちへ飛びあるいた。