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やそうざっき・やちょうざっき

野草雑記・野鳥雑記

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《野草雑記・野鳥雑記(やそうざっき・やちょうざっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,016 字 · 284 頁

青空文庫

全国を見渡してカワセミを意味する方言は最も数多く、あるいは水恋鳥に数倍するかと思うが、その中で殊に大きな区域で行われているのはショウビンの一語であり、これがまた赤ショウビンの名の元でもある。そのショウビンも川せみのセミも、共に大昔のソニから転訛した語音であることは、狩谷斎の『箋註和名鈔』にも既に詳かに説いている。『和名鈔』の時代には曾比、それが『嚢抄』には少微となり、近世に入っては少鬢ともなったが、なお播磨では将人・伯耆・出雲では初人、備前・美作では初爾といって、最初の蘇邇の形を遺していると述べてある。今日の方言分布に照して見て、大体に狩谷翁の挙げた通りである上に、関東東北にはソウナという例も弘く、宮城秋田等のスナゴドリの如きも、更にそのソナから進化したことが察せられる。故にもし名を正すとなれば、ヤマセビ・カワセミよりもショウビンの方が古に近く、それが訛りとして排斥せられるとすれば、いっそソニドリと呼ぶより他はないのである。ところが現在のカワセミなるものが、果して大昔のソニであったか否かには疑がある。『万葉集』の歌にはソニ鳥の青き衣とある故に、これで多くの人はもう安心しているようだが、奈良朝だから間違いをしないという、証拠などは一つもないのである。