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やそうざっき・やちょうざっき
野草雑記・野鳥雑記
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《野草雑記・野鳥雑記(やそうざっき・やちょうざっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,016 字 · 284 頁
正月に烏を祭る風は九州にはもう絶えてしまったらしく、神社の儀式としても有名なものはないようだが、なお烏だけは何十代か前の親々が、かつて空中の餅をついばんだ経験を相続して、今でも白い小さな円いものの飛ぶのを見ると、大急ぎに出て来てくわえ去ろうとする特殊の習性を現わすのである。人がミサキを信じてこれを饗せんとし、烏の本能的なる貪食を以て、神が祭を享けたまうしるしとする思想が、もしも中頃から発達して来たものならば、烏の環境はこれに伴のうて改まり、その生活は変化したのである。即ち烏にもまた一国限りの、種族の歴史というものがあったのである。
日本の烏の風習に大きな特徴のあることは、つとにエドワード・モールス翁なども深い注意を払っている。どこの田舎へ行っても彼等は人に興味をもち、殊に我々の手元や挙動をいつでも横目で見守り、時には近よって立聴きでもしようとするかと思うことがある。これをモールス翁は日本人の徳が、無心の鳥獣までをなつけているように、一人で合点して敬服しておられるが、他にもまだ一つの隠れたる理由はあったので、それだからまた雲仙の球拾いの子供などが難儀をするのである。