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やそうざっき・やちょうざっき

野草雑記・野鳥雑記

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《野草雑記・野鳥雑記(やそうざっき・やちょうざっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,016 字 · 284 頁

青空文庫

鳶の別れ

それでいてまだ以前の林の木の生活には、還って行こうという決心がつかぬかと思われる。人間はもう古い慣習を棄てようとしているが、雀や烏等は妙に代りのものを作り設けたがる。そうしてそれにはまた何十代かの、新たなる苦難を経なければならぬらしいのである。

鳶の別れ

交番で鼠を買上げることになってから、もうかれこれ三十年もたったであろう。東洋の黒死病の歴史なども、この方面より筆を著けるならば文学になり得ると思う。鼠の価は最初は二銭、後に諸色の騰貴と共に、改めて五銭と定められた。その間に暫く割増金附の抽籤券を以て、鼠を引換えた時代があった。自分の友人に一人の好事家があって、こういう記念になるような紙切れを蒐集して、張り交ぜの小屏風を作ろうとして。吉原で発行する御遊興切符なども、品行方正なるがために最も採集に苦心をした。ある時金網の鼠捕りを買いたいというから、何で急にそんな事をするかと思うと、実はこの「鼠一匹」と書いた抽籤の番号札を、手に入れたいためであった。

七つ八つの小児が、長い尾をつまんで鼠をぶら下げ、交番の前に立って巡査の顔を見ている光景などは、もう見ることが出来なくなった。