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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《土曜夫人(どようふじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 106,903 字 · 213 頁

青空文庫

と、きいて、アパートへ帰るんだ――という返辞もまたず、煙をふきだしながら、ついて来た。

「まだ、何か用か……?」

「夜道は物騒やさかい、そこまで送って行ってくれたかテ、かめへんやろ」

「そこまでって、どこまでだ……?」

「おっちゃんは……?」

「清閑寺の方だ」

「うちもその辺や」

「嘘をつけ!」

と言おうとしたが、木崎はだまって娘と肩を並べて円山公園を抜けると、高台寺の方へ折れて行った。

三条大橋、四条大橋、円山公園に佇む女は殆んどいかがわしい女ばかりだ――と、噂にもきき、目撃もして来たから、すぐにそれと直感したが、しかし、ふと、そうとも決め切ってしまえない感じが、その娘のどこかにあったせいだろうか。

若すぎるから……ではなかった。十七や八はざらだった。そして、そんな年頃の、いかがわしい女は、若さの持ついやらしさがベタベタとぬった白粉や口紅を、不潔に見せていたが、この娘の白粉気のない清潔な皮膚には、遠いノスタルジアがあった。

紫の御所車のはいった白地の浴衣に、紫の兵児帯――不良少女じみて煙草を吸っていても、何か中学時代のハーモニカの音を想わせた。

――といって、興味は感じなかった。