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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《大岡越前(おおおかえちぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 218,436 字 · 437 頁

青空文庫

第四章

都市の雑草

「あ、いけない」

気づかれたかと――身を欄へ寄せて、顔をそらしかけたときである。たれか、ふいに、左右太のうしろから組みついて――いや、そんな手ぬるさではなく、がッと、いきなり締めつけられたような呼吸の逼迫を感じると、もう、うしろの人間の五本の指が、食いこむように左右太の喉笛を、圧していた。

橋の下は、深い、谷だった。

左右太は、一とき、毛の根が、熱くなったが、それを忘れたとき、実は、気を失いかけていたにちがいない。

第四章

都市の雑草

訴訟の裁きは、月番奉行の役宅で、月々、まわり持ちの定めである。

今月は、南が、月番だった。

目安方の小林勘蔵も、吟味役の市川義平太も、下役たちも、そのため、めッきり公務がふえ、湯沸し部屋で、同僚たちの世間ばなしも、めったに聞けなかった。

「おお、ずいぶん早い御出仕だな」

「やあ、義平太か」

「今朝ばかりは、自分がいちばんの早出だろうと自負して来たら、もう、役宅の机にむかっているとは、驚いた」

「いや、ちと調べ物を、仰せつかってな。――昼中は、白洲が多くて、出来ぬので、二、三日、明け方出勤をつづけておる」

「なんだ、調べ物とは」

「いや、やっていると、おもしろいぞ。