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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

どこの百姓か知れないが、おそらく、この馬子は、かなり人のいい方であっても、この馬の狂乱を理解することができないで、家へ帰ってから後、相当に馬を譴責することでしょう――もし、乱暴の主人でしたなら、危険の虞れある荒れ馬として、売り飛ばすか、つぶしにすることか知れたものではない。

つまり、馬に暴れられたのでなく、馬に救われたのだという理解があれば、人間は幸福だったのですが、馬の心は、人の心ではわからない、人の心は、馬の心ではわからないものがある。

佐久間象山が、京都の三条通木屋町で、肥後の川上彦斎ともう一人の刺客に襲われた時、象山は馬上で、彦斎は徒歩であったから、斬るには斬ったが、傷は至って浅かったから、象山はそのまま馬の腹を蹴って逃げ出したのを、ついていた馬丁が馬の心を知らない――単に馬が狂い出したものと見て、走りかかる馬のゆくてに、大手を拡げてたち塞がったものだから、馬が棒立ちになったのを、追いすがった刺客が、おどり上って、思う存分に象山を斬ってしまった。これこそ実に日本一の間抜け馬丁、刺客にお手伝いをして、主人を俎にのせてやった馬鹿者――こんな奴こそ、馬に噛み殺させてやりたい、踏み殺させてやりたい。