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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

二十九

「勘弁どころか、お前の方から堪忍分を貰いたいくらいのものだよ。高山第一の穀屋のお内儀さんに、この人の兄さんの浅さんというのが、すっかり可愛がられちまいましてね、御前……」

「もうたくさんでございます、もうおゆるし……」

政吉は盃を下に置くと、身を翻えして、あたふたとこの場を逃げ出してしまいました。それを抑えようでもなく、あとでは、新お代官とお部屋様の高笑いがひときわ賑わしい。

二十九

これより先、あんな喜び方で、竜之助にしばしの暇乞いをしたお雪は、自分の座敷へ取って返すと、同時に気のついたのはこのなりではどうにもならないということでした。内にいる分には何でもいいが、外へ出るには、これでは……と悄気返ったのも無理はありません。あれ以来今日まで、まだ町へ下りたことのないのに、これでは仕方がない、ほんとうに貰い集め、掻集め同様の衣裳で身をつくろっているという有様ですから、全く出端を挫かれてしまいました。

といって、買物を止める気にはさらさらならない、と、目についたのが、衣桁にかけた例のイヤなおばさんの形見の小紋の一重ねです。あれを引っかけて行こうか知ら、あれなら、どうやら外聞が繕えるが、気恥かしいばかりではない、見咎められた時の申しわけにも困りはしないか。