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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

「もし、お雪様、お休みでございますか、鶴寿堂でございますが」

恐る恐る中を覗いて見たが陰深として暗い。でも、このまま引返すわけにはゆかない。充分、二の足も三の足も踏んでみた末に、この若い番頭は、ようようその一枚の戸口から、座敷の上へ這い上りました。

「お留守でございますか」

駄目を押したが、手答えもなく、そろそろと侵入してみたが誰も咎める者もない。

「おやおや、お雪様にも似合わしからぬ、とりちらかしてございますなあ、何か急用で出ていらしったのか。それにしても……」

蒲団は敷きっぱなしであるし、机の上はと見れば、自分の註文の仕事が、やりっぱなしで、紙が辛うじて文鎮の先に食留められている。平常着だけは脱いで、よそゆきの着替えをして行った形跡は充分あるから、それが若い番頭にとっては、せめてもの気休めとなるくらいのものです。いずれにしても慌しいことの限りである、と番頭は、そぞろ荒涼の思いに堪えられなかったが、その時自分の入って来た一方口が俄かにけたたましくなったのは、思いがけない人がやって来たのではなく、さきほど行き過ぎた矮鶏めが、何と思ってか引返して、この入口から縁の上へと侵入して来たものでありました。