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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁
出鱈目であるが、その声がすみ、おのずから調子がととのい、それに海の波の至って静かな夕べでしたから、出鱈目の散文が、やはり詩のようになって聞えました。
出鱈目とはいえ、即興とは申せ、これはまた途方もない。しかし、この少年は、いつか一度耳に触れたことは、脳によって消化されても、されなくっても、時に随って、必ず反芻的に流れ出して、咽喉を伝わって空気に触れしめねばやまない特有の天才を備えているのですから、いつ、何を言い出すか、それは全く予測を許されないのですけれども、いかに天才といえども、無から有を歌い出すことはできますまい。
三
清澄の茂太郎はこうして竜燈の松のそばまで来た時、突如として脱兎の如く走り出しました。
いつもならば、馴染の竜燈の松に腰うちかけて、即興詩の一つもあるべきところを、今宵はその松の木の前を脱兎の如く、全速力で、眼をつぶって走り去るのは、何か怖ろしいものを感じたからでしょう。怖ろしいものといっても、この子は、すでに世間並みが怖れるところの猛獣毒蛇をさえ怖れないし、日月星辰をも友達扱いにしようとするほどのイカモノですから、特にそんなに怖れるものは無いはずだが――さては、いつぞやお杉の女ッ児をおびやかした海竜でも、本当に出現したのかな。