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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

久助さんは……久助さんは、どうしたろう、あの人は耳が少し遠いから、わたしがああ言って呼んであげたのがわかったかしら。わからなくても子供じゃなし、逃げ出せないはずはないが……

お雪ちゃんは、ようやく、河原の中程へ来て、わが身のことと、人の身の安否を考えたが、どちらもたよりないことばっかり……でも、肝腎の目の見えない先生が、こうして御無事に……と思う、そればかりが心だのみでした。

「もう大丈夫ですねえ、先生」

自己慰安を求めるもののように、こう言ったが、盛んに燃えさかる火の手が、河原の表面を、昼のようにかがやかすと、避難の者が、いずれもこちらへ、こちらへと走りかかるのを見て、またも不安の念に襲われました。

二十八

火に追われるのは怖れないにしても、人目に触れさせたくない心配はある。

まもなく、川下の森のようになった柳の木蔭で、探し当てたのは、つなぎ捨てられた屋形船の一つです。夏になると、この宮川が屋形船に覆われて、花柳の巷が川の上へ移される。今は誰も相手にする者のない捨小舟。

船の中をなおよく見ると、蓆や、ゴザが、丸く巻いて隅の方に積んである。