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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

五

……よしっ、今夜は捕えたぞ」

武士たちは人数をふた手に分けて、大地を蟇の群れのように這ってゆく。

風呂口の火が、闇の中に真っ赤に見えていた。

五

何か――何とはなくである――武蔵の六感はおののいた。

ふと、戸の隙間から外をのぞいた途端にである。彼は、総身の毛穴をよだてて、

「あっ、騙されたっ」

と、叫んだ。

裸体だ、風呂場の狭い中だ、どうする分別も、いとまもない。

気がついたのがすでに遅いのだ、棒、槍、十手、そんな武器を持った人影が、板戸のそとには、充満している、実際は十四、五名に過ぎなかったろうが、彼の眼には、何倍にも映った。

逃げる策がない。身にまとう一枚の肌着すらここにはないのだ。だが武蔵は、怖い感じを持たなかった、お杉に対する憤りがむしろ彼の野性を駆って、

「うぬっ、どうするか見ておれっ」

守勢を考えない。こんな場合にも、彼は、敵と思う者へ、こっちから出てゆくこころにしかなれないのだ。

捕手たちが、互いに、踏みこむのを譲り合っている間に、武蔵は内から戸を蹴とばして、

「なんだッ!」

喚いて、躍り出した。

素裸なのだ、濡れ髪は解けて、ざんばらになっている。