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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
に意味のある奉公で、往った翌晩主人から意外のそぶりを見せられたので、その晩のうちにそこを逃げだしてふらふらと海岸へやって来たと云って泣いた女の泣き声がよみがえって来た。
讓は己の右側を歩いている人の姿に眼を注けた。路の右側は崖になってその上にはただ一つの門燈が光っていた。右側を歩いている人はこちらを揮り返るようにした。
「失礼ですが、電車の方へは、こう往ったらよろしゅうございましょうか」
それは壮い女の声であった。讓には紅いその口元が見えたような気がした。彼はちょっと足を止めて、
「そうです、ここを往って、突きあたりを左へ折れて往きますと、すぐ、右に曲る処がありますから、そこを曲ってどこまでもまっすぐに往けば、電車の終点です、私も電車へ乗るつもりです」
「どうもありがとうございます、この前に私の親類もありますが、この道は、一度も通ったことがありませんから、なんだか変に思いまして……、では、そこまでごいっしょにお願いいたします」
讓は足の遅い女と道づれになって困ると思ったがことわることもできなかった。
「往きましょう、おいでなさい」
「すみませんね」
讓はもう歩きだしたがはじめのようにとっとと歩けなかった。