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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

※(ローマ数字6、1-13-26)

平吉は主婦の詞を待っていた。

「ぼんやりしてないで、引抽を元へやっておくれよ、佳い物を見せてやるじゃないの」

「へい」

平吉は急いで引抽を持って往ってさした。お高は出した衣服を二つに折り折り渋紙の中へ入れた。

「それじゃ、ついでに蒲団を出しておくれ、洗濯しなくちゃならないからね」

「へい」

返事をしたものの蒲団がどこにあるか判らないので、平吉は四辺をきょろきょろと見た。お高は渋紙包の緒を結び終ったところであった。

「あれさ、あの長櫃の中だよ」

お高の指は左側の壁に沿うて並べた長櫃の一つへ往っていた。平吉はこちらから三つ目の長櫃の前へ往った。

「その中に入ってるのを、皆出しておくれよ」

「へい」

※(ローマ数字6、1-13-26)

平吉は長櫃の蓋を啓けた。中には松に鶴の模様のある懸蒲団が三枚入っていた。裏は萌黄であった。

「それも黴臭いだろう」

なるほど黴の匂がむうとした。

「どう」

「臭いのです」

「佳い匂じゃないの、私はこたえられないよ」

「好奇だなあ」

「好奇と云や、好奇かも判らないが、私はこたえられないよ」ちょっと切って、「一枚敷いてごらんよ」

「そこへですか」

「そうよ」