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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

岐阜提灯

※(ローマ数字1、1-13-21)

※(ローマ数字1、1-13-21)

真澄はその晩も台所へ往って、酒宴の後しまつをしている婢から、二本の残酒と一皿の肴をもらって来て飲んでいた。事務に不熱心と云うことで一年余り勤めていた会社をしくじり、母の妹の縁づいている家で世話になって勤め口を捜しているが、折悪しく戦後の不景気に出くわしたので口が見つからないけれども、生れつきの暢気な彼は、台所の酒を盗み出したり残酒をもらったりして、それを唯一の楽しみにしてなんの不平もなしにその日を送っていた。

真澄はもう一本の銚子を皆無にしてしまって二本目の銚子を飲んでいたが、なるたけ長く楽しみたいので、一度注いだ盃は五口にも六口にもそれを甞めるようにして飲んだ。そして、思い出したように銚子を持ちあげて見てその重みを量っていた。

それは秋のはじめでもう十二時近かった。叔母の跫音だけには何時も注意を置いていたが、その叔母ももうとうに寝ていることが判っているので、ほとんど持ち前の暢気をさらけ出して眼をつむってとりとめのないことを考えてみたり、時とするとすこし開けてある中敷の障子の間から外の方を見たりした。外にはうす月が射して灰色の明るみがあった。