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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
※
広栄はほっとしていた。
「そうか、それでは」
広栄は松葉杖を執ってやっとこさと起って、定七といっしょに次の室へ往った。
※
広巳は母屋の庖厨へ入って往った。庖厨の土室には年とった婢が筍の皮を剥いていた。広巳は庖厨に起ってあちらこちらを見た。それは何かを探し求めている眼であった。
「おい、お小夜」
年老った婢は何人か来たとは知っていたが、めんどうだから知らないふりをしていたところで、名を呼ばれたので顔をあげた。
「おや、若旦那、今日はお珍らしいじゃありませんか」
広巳が母屋へ来たことは暫くぶりであった。
「そんなことは、どうでもいい、酒はないか」
広巳の眼は光って怒に燃えている眼であった。年老った婢はいつもの広巳とかってがちがっているのでおやと思った。
「さけ、どうするのです」
「どうでもいい、持って来い」
年老った婢は筍をおいて起っていた。
「あがるのですか」
「判ってらあ」
「それでは、お燗をつけますか」
「そんなことはいい、早く持って来い」
「そうですか」
年老った婢は流槽と喰ついた棚の下にある瓶子の傍へ往った。
「瓶子のままでいいのですか」
「いい、持って来い」
「お銚子と猪口はいらないですか」