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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
※(ローマ数字2、1-13-22)
それは頼朝に愛している女があって、伏見広綱の家に置いてあると云う知らせであった。政子は非常に怒って牧宗親に云いつけて、広綱の家へやり、広綱の家を破壊さすとともに、その女を逐わした。女は逃げて大多和義久の家へ往った。それを知った頼朝は、事にかこつけて義久の家へ往って、宗親を呼ばして罵り、怒りに顫える手に刀を抜いて宗親の髪を截った。これがために時政は面目を失うて領地へ帰ったことがあった。政子はこんなことを思い浮べながらじっと考えた後に、大番所に詰めている畠山六郎を内密に呼ばした。
呼ばれて六郎は急いで政子の前へ出た。この六郎は畠山次郎重忠の子六郎重保で、時政の前妻の女の腹に生れた者であった。
「上様の寝所を覘う怪しい者があると云うから、お前は今晩から寝所の外を見張ってもらいたい」
※(ローマ数字2、1-13-22)
六郎はその晩から右大将家の寝所の周囲を警衛することになった。
そのうちに十二月はすぐ尽きて翌年の正月となった。その正月の五日の晩、六郎は平生のように右大将家の寝所の周囲を見廻っていた。
五日の月はほんのりと庭の白沙を照らして、由比ヶ浜の方からは穏かな波の音が、ざアーア、ざアーアと云うように間遠に聞こえていた。