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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
「何云ってるのだ、爺さん、俺の云ってるのは、今、喧嘩のとき、仲へ入ってくれた女のことだよ、何人だい、ありゃ、なんだか俺を知ってるような口ぶりだったじゃねえか、この辺の人かい」
「なに、喧嘩の時、仲へ入った女、そ、それが水神様じゃないか」
「水神様だなんて、神様じゃないよ、色の白い、夫人のような女じゃねえか、判らなかったかい」
「判ってるから、水神様だと云ってるじゃないか、まさか汝さんがそれを拝むのじゃねえだろう」
たった今の事実を、それも傍にいながら明瞭覚えていないのは、頭がぼけているのだろう。
「爺さん、すこし、ぼけてるね」
老人の眼はいきいきとした。
「おい、壮佼、気をつけろ、私がぼけてる、眼は秋毫の尖もはっきり見える、耳は千里のそとを聞くことができるのだ、汝なんざ無学だから、こんなことを云っても判らないだろうが、私はこう見えても、安井息軒の門にいたのだ、西郷さんの戦に、熊本城に立て籠って、薩摩の大軍をくいとめた谷干城さんも、安井の門にいたのだ、私は運が悪くて、こんなことになっちまったのだが、それでも谷さんとは同門の友人だ」
安井息軒の名は判らないが、谷村計介の話で、谷干城の事は知っていた。