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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
定七は皺だらけの馬のように長い顔を見せていた。定七は広栄兄弟が生れない前からそこの店にいる番頭格の老人であった。
「どうしたと云うのだろうな、汝はどう思う」
「そうでございますよ、旦那が御心配なされているようだし、私もへんに思いますから、せんだって、それとなしに聞いてみたのですが」
「聞いたら、何と云った」
「俺は、べつに何もないのだ、兄は俺を小供のように面倒をみてくれるし、不足も何もあるものかと云うのですよ」
広栄は親子ほども年の違う広巳を、己の小供のように可愛がっているところであった。
「それじゃ、何だろうね、凱旋して来た当座は、やっぱり昔のとおりだったが、どうしたと云うのだろうな」
「それでございますよ。若旦那がへんにしだしたのは、昨年の暮比からでございますよ、元は無邪気で、きびきびして、始終旦那に小遣をねだって、旦那が煩がると、私が仲へたってもらってあげるものだから、戦争から帰ってらしても、私に、今日は兄の機嫌はどうだなんて、よく仰しゃってたものですよ、それが昨年の暮比からみょうに黙りこんで、厭な物でも眼前にいるようにしてるのですよ」
「女のことじゃないだろうか」