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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

「旦那がせんだっても、そう仰しゃるものですから、それとなしに壮佼に聞かしたのですが、何人も知らないのですよ」

「そうか、この比は、私に顔をあわすのも厭と云うように、私をさけるのだよ」

「ほんとにどうしたと云うのでしょう、あんな無邪気な、きびきびしてた方が」

「どうしたと云うのだろうな、それで、昨夜から帰らないのか」

「そうでございますよ」

「そうか」

広栄は後の煙草を点けて庭の方へやるともなしに眼をやった。白沙を敷いた広い庭には高野槇があり、榎があり、楓があり、ぼくになった柾などがあって微陽が射していた。

「おう」

広栄は庭に何物かを見つけたのであった。それは見るべくして見ることのできなかった物を見つけたような容であった。それと知って定七の眼も広栄の眼を追った。

「おう、これは」

庭の右の隅になった楓の老木の根方に一疋の蛇がにょろにょろと這っているところであった。それは三尺近くもある青黒い中に粉のような丹い斑点のある尻尾の切れた長虫であった。広栄は眼を放さなかった。

「それじゃ、明日は雨だな」

「そうでございますとも、神様がお出ましになったら、雨でございましょうよ」