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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
お高は石段の上へ履物を脱いで中へ入った。
「鼠が入るから、早く入って、お締めよ」
「へい」
平吉は後から急いで入るなり、内から金網戸を締めた。諸道具をぎっしり積みあげてある土蔵の中は微暗かった。
「用心がわるいから、鍵をかけるのだよ」
「へい」
平吉は手さぐりに鍵をかけた。
「かけたの」
「へい」
「それじゃ、二階へ往って窓を啓けておくれよ」
「へい」
平吉が左の方にある階段へ眼をやった時、お高はまたはすっぱな声をだした。
「だめよ、汝、手ぶらで往っちゃ、これ持ってくのよ、お婆さんに持って往かして」
それは抱きかかえている渋紙包を持って往けと云うのであった。
「へい」
「そうじゃないの」
「へい」
平吉はまたとぼけるように云って渋紙包を受けとった。
「ぼやぼやしてると落っこちるよ」
「へいッ」
平吉は階段をあがって往った。お高はその平吉の厚子の下から露出している蒼白い足端のちらちらするのを見ていた。そして、その蒼白い足端が見えなくなったところで、ごとごとと云う音がした。それは窓の戸を啓ける音であった。同時に二階の昇口が明るくなった。
「啓けたのですよ」
「そう」
お高はあがって往った。