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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

「満州なんかだめだよ、酒は高粱の酒で、喫うものは、豚か犬かしかないと云うじゃねえか、だめだよ、魚軒に灘の生一本でなくちゃ」

二人は何時の間にか泪橋の傍へ往っていた。そのあたりには漁夫の家が並んでいた。そこには店頭へ底曳網の雑魚を並べたり、あさりや蛤の剥身を並べている処があって、その附近のお媽さんが、番傘などをさしてちらほらしていた。

松山と半ちゃんは、その傘の中を潜って一跨ぎの泪橋を渡った。その時壮い男が燕のように後から来て二人に躍りかかった。壮い男は円木棒を持っていた。円木棒は忽ち紺蛇目を潰し蝙蝠傘を飛ばしてしまった。

「うぬ」

「野郎」

二人の叫ぶまもなく、円木棒は忽ち半ちゃんをなぎ倒し、ふりむいた松山の右の肩をしたたかに撲りつけた。円木棒は広巳であった。

「盗人」

半ちゃんは起きあがって広巳に飛びかかろうとした。

「野郎」

「なにを」

円木棒は半ちゃんの胴に来た。半ちゃんはまた倒れてしまった。松山は眼を怒らすばかりでどうすることもできなかった。広巳は円木棒を揮って松山に躍りかかった。松山はその勢に辟易して後すさりした。半ちゃんは半身を起しただけであった。