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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
「奥様がどんなに待っていらっしゃるか判りませんよ、こちらへいらっしゃいよ」
年増は隻手を放してそれで帷を捲くようにして、無理やりに讓の体をその中へ引込んだ。
そこには真中に寝台があってその寝台の縁にな主婦が腰をかけて、じっと眼を据えて入って来る讓の顔を見ていた。その室の三方には屏風とも衝立とも判らないものを立てまわして、それに色彩の濃い奇怪な絵を画いてあった。
「ほんとにだだっ子で、やっと掴まえてまいりました」
年増は讓を主婦の傍へ引ぱって往って、主婦のむこう側の寝台の縁へ腰をかけさせようとした。
「放してください、僕はだめです、僕は用事があるのです、僕は厭です」
讓は年増の女を揮り放して逃げようとしたがはなれなかった。
「だめですよ、もうなんと云っても放しませんよ、そんなばかなことをせずに、じっとしていらっしゃいよ、ほんとうにあなたは、ばか、ねえ」
主婦の眼は讓の顔から離れなかった。
「おとなしく、だだをこねずに、奥さんのお対手をなさいよ」
年増はおさえつけるようにして讓を寝台の縁へかけさした。讓はしかたなしに腰をかけながら、ただ逃げ出そうとしても逃げられないから、油断をさしておいて隙を見て逃げようと思ったが、頭が混乱していて落ちついていられなかった。