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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
真澄は眼をひかずにそれを見た。
白い犬の姿はゆっくりと背延びをするように体をのびのびとさしたが、やがて歩きだして中敷の前を掠めて裏門の方へ往った。真澄は彼奴おかしな奴だなひとつ見とどけてやれと思った。彼は起ちあがって中敷の障子を体の出られるぐらいに開け、そこからそっと庭へおりて、裸足のままで冷びえした赭土を踏んで往った。
白い犬は裏門の傍にその姿を見せていた。真澄は怪しい犬に悟られまいと思って、跫音のしないように足を爪だてて歩いた。そして小松のある処ではその下の方を歩いた。そこは阪急線の別荘地に新築した住宅で、裏門の外は、庭の小松といっしょの小松の生えたまだ自然のままの丘であった。その丘と庭の境には丸竹の透し垣をして、それに三条のとげを拵えた針金を引いてあった。
犬の姿はすぐ見えなくなった。真澄はコールターで塗った裏門の扉をそっと開けて、前方を透して見た後に裏門を出て歩いた。
小松林の中には芒の繁りや萩の繁りがあった。芒の軟かな穂が女の子の手のように見える処があった。白い犬はその芒の中に姿を消すことがあった。
すぐなだらかになった丘の上が来た。そこに横穴の古墳の崩れのような大きな石が土の中から覗いている処があった。