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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
そこには頭髪を断った少女がいて、夕方芝生の上で犬と遊んでいることがあった。菊江は時おり会社の帰りに見ているので、その少女といっしょに小さくはあるが鹿のような形をしたその犬の姿をちらと思い浮べてみた。菊江は犬の姿から黒い正体の判らない影を描いた。菊江は後の方を揮返った。何か怪しい者がつけていはしないかと思ったがためであった。
そこには何もいないので菊江は安心した。菊江は近路の草路の入口に往っていた。小供の背丈けほどもある昼間見ると藜のような草と粟粒のような微紅い実をつけた草がぎっしり生えた住宅地の入口に、人の足によって通じた一条の路がうっすらと微月の光に見えていた。菊江はその路に一足やってから後の方を揮返った。こっちの側の高圧線の電柱と街路照明の草色のペンキで塗った四角な電柱の並んだ傍に人影のような者があった。菊江はおやと思って見なおしたが、見なおした時にはもう何も見えなかった。
菊江は安心して草の中の路へ入って往った。虫はさまたげるもののない各自の世界に胸を高くはって歌っていた。土の上っ面を断り執った赭土の肌の見えている処では、草は短くなってそこでは路があっちこっちに乱れていた。