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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
友人は左隅の卓に寄ってビールを飲んでいた。エプロンをかけた壮い女が、その側で対手になっていた。
「友人の細君に逢ったところで、その細君が櫛を落したから、拾っていると、君が来て、無理に引っ張り込むものだから、出て往って見ると、もういなかったよ、この櫛さ」
私は右の手にしていた櫛を出して見せた。それは黒い銀の星飾の着いたゴムの櫛であった。
「君は頭の物をやるのが専門だからね」
と、友人は赧い顔で笑って見せた。私は女の注いでくれたビールを一口飲んで、友人に調子をあわせて笑ったが、
「今、僕達が入って来た時に、出た女があったね、彼女は一人で来てたのかね」
と、女の顔を見ると、
「女のお客さん、貴方がたが入らした時に、女のお客さん無かったはずですわ、おかしいのね」
と、女は首をかしげた。
「茶の立縞の羽織を着た、ハイカラが出て往ったじゃないか、それが出口で、これを落したから、拾ってやってみると友人の細君じゃないか、この男が、僕に抱きついたりなんかしているものだから、とうとう往っちまった、ハイカラを見なかったかね」
と、云うと女は不審そうにして、
「いいえ、たしかに女の方は来ませんでしたわ」