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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

義竜は弘治二年の春、庶腹の兄弟喜平次、孫四郎の二人を殺し、続いて父道三と鷺山に戦うて父を滅してからは、美濃の守護として得意の絶頂に立っていたが、夏の間は水浴を一日も欠かすことができないので、この数年来、夏が来ると密にこの別院に隠れて、冷たい清水の湧く庭前の池に水浴するのであった。

「小萩は来て肩を打て」

義竜がちょと体をずらして云ったので、左の後にいた少女が団扇を置いて、

「は」

と、云って起ちながら、そのまま傍へ寄って小さな拳を右の肩端へ持って往った。と、そのとき微な物の気配がした。義竜が不思議に思って顔をあげた時、庭前にちらちらと人影が動いた。

「何者だ」

同時に縁側にどかどかとあがった者があった。それはかの鵜飼の四人であった。皆さっきのままのなりで、手に手に白刃を持っていた。

「悪逆無道の親殺を討ちとりにまいった者じゃ、道家孫八郎の伜孫太郎でござる」

それは背の高い眼の鋭い男であった。

「拙者は長井与右衛門でござる」

それは痩ぎすな男であった。

「篠山七五郎」

それは角顔の男であった。

「拙者は竹腰藤九郎でござる、お首を頂戴して、先君道三入道殿の修羅の妄執を晴らす存念でござる」