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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
生垣があり駝師の植木があって、人家は稠密と云うほどでもないが、それでもかなり人家があるので、燈の一つも見えないと云うはずがなかった。
(おかしいぞ)
しかし、道夫はそんなことよりも早く下宿へ帰って、寝ぼけている婢にはかまわず、台所から酒を持って来て己で燗をして飲みたかった。
雨はすぐ通りすぎた。彼はまたおりた。青い刻煙草の吸殻のような光があった。それは根笹の葉裏に笹の葉の繊維をはっきり見せていた。
(おや)
それは蛍か何かであろう。彼は嘗て支那の随筆の中で読んだことのある蛍に関する怪奇な譚を思いだした。それは夏の夕一人の秀才が庭の縁台の上で寝ていると、数多の蛍が来て股のあたりへ集まっていた。秀才がそれを見て冗談を云うと、蛍火が消えて美しい女が出て来たので、それを愛好したと云う話であった。
(どうだい、君も美人にならないか)
そのひょうしに足がすべってずらずらとずり落ちた。彼は落ちながら前のめりになろうとする体をやっと支えて立ちなおった。立ちなおって気をつけてみると坂路をおりつくしていた。
(おや、おりたのか、美人のことを考えてたから、うまく一息におりられたぞ)