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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
で、早く暇をこしらえてまた海岸へ出かけようと思ったが、二三日ではちょっと暇ができそうにもなかった。そこで、本郷林町の素人下宿にいる洋画家の友人が、夏の間その海岸にいたことを思いだして、それとなしに女の噂でも聞いてみようと思って、浅草の問屋へ往っての帰りに夕飯を途ですまし、団子坂下から電車をおりてその下宿へ往った。
「やあ、何時帰った、ブルジョアはちがったものだね、ちょっと俳句を捻ると云っても、あんな処まで出かけて往くのだから、どうだ、好い女でも見つかったかい」
画家はとり散した絵具だらけの穢い室でウイスキーを飲んでいた。
「女も見つかったが、親爺がやんやん云って来るものだから、たった一週間しかいられなかった、おちついて好い処だね」
益雄はウイスキーをさされないようにと煙草をつけた。
「好い処さ、それに臨海亭のお客さんになりゃ、理想的だからね、あの家は、海も好いが、家のまわりの木や草が好いのだ、僕はあの旅館の裏手をスケッチしたよ、どうだい、一ぱいやろう、茶のかわりに」
画家は傍にある足のついた小さなカップに手をかけた。益雄は顔をしかめて手を揮った。
「たくさん、たくさん、そんな茶なら一生飲まなくても好い」