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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
線上閱讀国木田 独歩《武蔵野(わすれえぬひとびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,018 字 · 192 頁
先生もこれには少し行き詰まったので僕は畳みかけて『つまり孟子の言った事はみな悪いというのではないでしょう、読んで益になることが沢山あるでしょう、僕はその益になるところだけが好きというのです、先生だって同じことでしょう、』と小賢しくも弁じつけた。
この時孫娘は再び老人の袖を引いて帰宅を促した。老先生は静かに起ちあがりさま『お前そんな生意気なことを言うものでない、益になるところとならぬところが少年の頭でわかると思うか、今夜宅へおいで、いろいろ話して聞かすから』と言い捨てて孫娘と共に山を下りてしまった。
僕が高慢な老人をへこましたのか、老人から自分の高慢をへこまされたのかわからなくなったが、ともかく、少しはへこましてやったつもりで宅に帰り、この事を父に語った。すると父から非常にしかられて、早速今夜あやまりに行けと命ぜられ長者を辱めたというので懇々説諭された。
その晩、僕は大沢先生の宅を初めて訪ねたが、別にあやまるほどの事もなく、老先生はいかにも親切にいろいろな話をして聞かして、僕は何だか急にこの老人が好きになり、自分のお祖父さんのような気がするようになった。