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わすれえぬひとびと

武蔵野

国木田 独歩

線上閱讀国木田 独歩《武蔵野(わすれえぬひとびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,018 字 · 192 頁

青空文庫

※(始め二重括弧、1-2-54)下※(終わり二重括弧、1-2-55)

しをいかにせん――

※(始め二重括弧、1-2-54)下※(終わり二重括弧、1-2-55)

時は果たして来たりぬ、ただ貴嬢もわれも二郎もかかる時かかるところにて三人相あうべしとは想いもよらず。

時は果たして来たりぬ、一年と二月は仇に過ぎざりき、ただ貴嬢にはあまり早く来たり、われには遅く来たれり、貴嬢は永久に来たらざるを希い、われは一日も早かれとまちぬ、いずれにもせよ余がこの手紙認むべき時はついに来たれり。

夏の玉章一通、年の暮れの玉章一通、確かに届きぬ。われこれに答えざりしは今の時のついに来たりて、われ進みて文まいらすべきことあるをかねて期しいたればにて深き故あるにあらず。今こそ答えまいらすべし、ただ一言。弁解の言葉連ねたもうな、二郎とてもわれとても貴嬢が弁解の言葉ききて何の用にかせん。二郎が深き悲しみは貴嬢がしきりに言い立てたもう理由のいかんによらで、貴嬢が心にたたえたまいし愛の泉の涸れし事実の故のみ。この事実は人知れず天が下にて行なわれし厳かなる事実なり。

いかなる言葉もてもこれを言い消すことあたわず、大空の星の隕ちたるがごとし、二郎はその理由のいかんを見ず、ただ光の失せぬるを悲しむ。