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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁

青空文庫

そして自然、無秩序な彼らの中にも秩序が生れ、無君主のはずなのに、領主でない領主が上にできていた。

散所ノ太夫は、すなわち、それだ。

もっとも、五位相当の太夫の官名は勝手称えの自称ではない。日野俊基のあっせんで、官からゆるされたものである。

理由は、散所民には、公共労働の奉仕や、供御の御用には、その狩り出しに応じる義務があったからである。

いや、もっと重要な任としては、摂関家の荘園からあがる収穫物を運上したり、余った物は、これを都市で交換するとか、売り捌くとか、とまれ、公卿の台所との関係が密接だった。

俊基の才は、早くから、ここに目をつけていた。将来における宮方の軍需の一端を散所の人力と経済力にも結んでおくため、夙に、散所ノ太夫父子をも手なずけて、自家薬籠中の物としようと計っていたわけだった。

散所者は、気が荒い。

これは例の、婆娑羅者の荒さとはちがう荒さなのである。

見栄、風流なんて、余地のある生き方ではない。食うか食われるかの職業から来たものだ。

陸上の運輸、水上の舟行、どこでも喧嘩ッ早いわめきの中で生きていた。

職とする仕事も、運輸だけではなく、魚貝の売買、塩の仲次ぎ、小酒屋、石切り、鍛冶、車造り、馬子、輿丁、瓦焼き、木挽き、船大工。