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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(三)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 222,108 字 · 446 頁
「やあ、理不尽な。道誉にも会わさず、ムザと刃を下してみよ、その刃へ噛みついて、なんじらの頭上へ、呪いの雷を呼び降ろしてくれるぞ」
すさまじい叱咤なのだ。またそれを疑わせぬかのように、青白い稲妻が武士たちの影にひらめいた。
丘の一本松の下には、さっきから、一枚の蓆が展べてあった。具行を斬るための支度である。
その蓆が、吹き起されたとおもうと、生き物みたいに、風をはらんで、遠くにいた道誉のそばまで飛んで行った。
道誉は大ゲサな恟みをみせて、はッと振り向いたが、
「なにしておるのだ」
と、すぐ彼方の群れへ、眼を戻して、
「玄蕃と六郎左へ、早くいたせと申して来い。いまにも、大夕立になりそうだわ」
床几脇の一人へいったが、逆にその玄蕃が、強風の中をこッちへ泳いで来るのが見えた。
「どうしたっ。玄蕃」
「殿っ。手におえませんっ」
「何が手におえん?」
「身は朝廷の臣、その源中納言を刑するに、道誉が顔を見せぬという仕方やある。道誉に一言すべきことあり。道誉参れと、猛り叫んで、うごきませぬ」
「しゃっ、吠えさすな。かまわん、うごかぬなら、その場で行え」
「ところが」
「なにを惑う?」