輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

散りいそぐ

現にいま、この場で高時のことばを聞いていた一族御家人の将星の中には、

ああ、暗君だ

暗君はついにどこまで来ても暗君だった!

と、なんら明察の敏もないその凡人なみな感じ方や赤橋守時の処置ぶりなど見て、ひそかな慨嘆を胸につつむらしい不平顔もかなり目立った。

――とはいえ、高時の性情はいま始まったことでもない。

また彼ら自身も、いまさら、北条血族のきずなは切れないし、恥を敵に売って、あげくに、首斬られる恐れもあることは知っている。ここはただ阿修羅になって守りぬき、ひとまず外敵を追った日こそ、この暗君を、他のよき人に代える絶好な機会としているものだった。

しかし、北条九代の府、鎌倉武士の名もここから出たのである。禅もここで栄え、学問も政治も、かつての日には生きていたのだ。一概に武士は廃れたともいえない。人は元来いろいろだ。この日に会して、生き方、死に方、武人もさまざまだったのは是非がない。

散りいそぐ

十七日の夕。

海道の一駅、藤沢の宿では、小合戦があった。

しかし物見隊同士の遭遇戦にすぎないもので、いつか、夜半の暗い雨となっていた。

雨は風を加え、そのなかを、先鋒、本軍、後続部隊まで、新田勢はぞくぞく藤沢の宿へこみ入って来た。