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やそうざっき・やちょうざっき
野草雑記・野鳥雑記
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《野草雑記・野鳥雑記(やそうざっき・やちょうざっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,016 字 · 284 頁
天草島では旧暦六月三十日の夏越の行事に泳ぐ風習があるが、村によってはこの花と「かたばみ」の葉とを合せて石の上で搗き、その液を以て爪を染めてから海にはいり、あるいは棕櫚の葉に紅白のトビシャゴの花を貫いたものを、女の子などは頸に巻いて泳ぐという。即ち河童の害を防ぐまじないに、ひとりで実を飛ばすような有力な花を利用したらしいのである。この方言は不思議に分布が弘い。鹿児島ではトッシャゴまたはトッサゴ、南の境の宝島ではトビシッゴ、沖縄県でも本島はテインシャグ、またはチングサ、宮古島ではティンザク、八重山諸島ではキンジャク、与那国島ではキンタク、波照間島ではシンシャクで、いずれもたった一つだけを聴けば、飛草の変化であることはちょっと気がつかぬが、恐らく飛ぶという特徴以外に、今も天草島などで残っているような、美しくまた印象の深いまじないの方法といっしょに、持って渡った名称であろうと思う。東北では羽後の角館などに、この草をゴシャギトンコという名が独立してある。ゴセヤクは腹を立てること、ちょっと手を触れるとすぐに実が飛ぶのを、怒って飛ぶ者と呼んだので、これは西国の方とは無関係に、この土地限り思い付いたものらしい。