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やそうざっき・やちょうざっき

野草雑記・野鳥雑記

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《野草雑記・野鳥雑記(やそうざっき・やちょうざっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,016 字 · 284 頁

青空文庫

ただそれを引用して素人同志話をしようとしても、相手も知らぬのだから間に合わぬだけである。話題になる草は昔から限られていて、それも少しずつ数を減じて行くのではないかと思われる。せっかく気のきいた佳い名が出来ているのに、この毎日見るものをこんなとかこういうとか、面倒でしかも不精確な描写に任せて置いては、それこそ話にもならぬのである。今度の国民学校にも頼まなければならぬが、私の『野草雑記』も働かずにはいられない。ただそれには十年が少し短かすぎたというだけである。

小鳥の方でも実情はこれとよく似ている。私は近年の方言集をあさって、かなり数多くの草と鳥の名を比べて見たが、多いのは一つのものの異名のみで、その種類は不思議なほどにも限られている。久しくこういう話題の管理を、少年の手に委ねてしまって、省みなかったということも原因の一つかも知れぬ。もしそうだとすると今になって少しばかり、樹蔭で草をむしり鳥の声に耳を傾けようとしても、急にそう新らしい経験の得られぬのもやむをえない。それにまた彼等の社会にも、やはり免れ難い生活の変化があって、古い約束などは守っていられぬようである。