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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁

青空文庫

四

大家はどこだ」

「裏の倉賀屋――質屋が家主で」

それを半分訊いて、平次はもう出かける支度です。

「あれ、お前さん、まだ朝飯も、済まないじゃありませんか」

驚いたのはお静でした。

「お前一人で済ましておけ。――羽織はどこだ、――紙入と手拭は?」

二人は呆れるお静を後に、真に鳥のように飛んで行ってしまいました。

四

海賊橋へ行ってみると『さざなみ』は店を締めて、近所で訊いても、どこへ引越したとも解りません。『さざなみ』の真裏、庭続きの質屋――倉賀屋――へ行って訊くと、

「どうも驚きましたよ。暮の二十五日に来て、正月早々店を開きたいからと、一両二分で貸しました――ヘエ、店賃は確かに一と月分頂戴しましたが、店を開いて、たった一日で、どうも商売は思わしくないから、故郷の府中へ帰ると言い出すじゃございませんか、あんな店子は見た事もありません」

主人の総七は、五十恰好のよく練れた人相を、解き難い謎に曇らせます。

「借り手はどんな人間で?」

「主人は顔を見せません。番頭は四十がらみの、世辞のいい男で」

それなら平次もよく知っております。

「雇人は?」

「下足が一人、板前が二人、下女が二人、それにお座敷女中が三人ぐらいはいたようでございます」