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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁

青空文庫

「花見客は驚いて大概帰りました。山の四方はすっかり見張ってありますから、怪しい者は、出ようも入りようもありません」

「フーム」

唸った樫谷三七郎の眼は、自然油屋兼吉の虚無僧姿に戻ります。兼吉が、もう一度顫え上がったのは言うまでもありません。

「平次、どうだ」

三七郎は平次を顧みました。

「あっしにも解りません、旦那」

「それじゃともかく兼吉を番所まで伴れて行くとしよう。その他の者も掛り合いだ、遠出はならぬぞ」

「ヘエ――」

泣き出しそうな兼吉を追い立てて、樫谷三七郎は引揚げました。

残ったのは、平次とガラッ八と、山を見廻っていた土地の役人だけ。

「親分、もう一度山中捜してみましょうか」

ガラッ八は、沈み返った親分の顔を覗くのです。

「虚無僧の隠れるような穴なんか無いはずだよ」

「ヘエ――」

「それより手前は、馬道へ行って、出雲屋の店中の者の出入りと、良助、倉松、兼吉三人の身元を洗ってくれ、――おっと、浪人の蔀半四郎、あれも忘れちゃならねえ」

「ヘエ――」

「宗次郎に怨みのある奴はないか、宗次郎が死んで儲かる奴はないか、――今日昼過ぎどこへ行ったか、行方の判らなかった奴はないか、それを訊出すんだ」