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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁

青空文庫

粋な潰し島田、縮緬の花見衣、少し斜に構えて両手を開いたポーズは、銭形平次の眼にも型になっておりました。

「用事があるなら言えッ」

もっての外の平次。

「出雲屋の若主人殺しの下手人は、見当だけでも付きましたか、親分」

「何?」

「それを教えて上げようと思って、ここで待っていたのですよ、親分」

「誰だ?」

「ホ、ホ、まるで御白洲じゃありませんか、そんな怖い顔なんかしてさ。――ちっと恩に着なきゃ駄目」

「…………」

「ね、親分さん、私は十年も前から、親分に岡惚れてるじゃありませんか、憎らしいねえ、本当に」

「十年前――お前が、小さい妹と二人で、両国で赤い股引を穿いて、玉乗りをしていた頃か」

「あら、よく知ってるのねえ、嫌になるじゃありませんか」

お滝は袂を翻して、平次を打つような素振りを見せました。そういったお滝だったのです。

「だから余計な事を端折って、肝心の事だけ言うがいい」

「かなわないよ、親分には。――ね、親分さん、樫谷の旦那は、油屋の兼吉さんを縛る積りのようだけれど、あの人は、刃物を隠す隙もなかったし、返り血も浴びてないじゃありませんか」

「それがどうした」

「私は出雲屋さんを斬ったのは、真物の敵持の虚無僧じゃないかと思うが、どうでしょう」