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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁

青空文庫

「ヘエ、その野郎で」

「行ってみようか、八」

二人はすぐ飛んで行きました。昨夜樫谷三七郎に引かれて行った、油屋の兼吉は、申訳相立ち難くそのまま留め置かれ、八丁堀の空気は、もうこの事件を解決と見ている様子なのが、ひどく平次を焦立たせたのでした。

「やア、岡っ引」

「ヘエ」

店へ入ると、食客浪人蔀半四郎、朝っぱらから酒臭くなって四方を睨め廻しております。

「貴様は、この蔀半四郎を怪しいと睨んだそうだな」

「とんでもない、旦那」

「いまさら胡麻を摺っても追っつかぬぞ、――その方の家来、あの顎のしゃくれた野郎が、昨日拙者が何をしていたか、くどく訊きおったぞ。不都合千万、――こう見えても武士だ、旧主の御名は憚るが、かつては西国筋の大名に仕え、百五十石を食んだ蔀半四郎だ。三月越し養って貰った、宗次郎殿を殺してよいものか悪いものか、考えてみろ」

「恐れ入りました。決して蔀様を疑うというわけじゃございません。出雲屋に出入りの者、昨日の茶番に掛り合いの者は、一応取調べるのが、あっしの仕事で、ヘエ」

「何だ? 岡っ引が武士を調べる? とんでもない野郎だ、――それへ直れ、手討にしてくれる、ウーム」