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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁
こんな騒ぎの中から、何を捜し出せるものでもなく、唯もう平次は茫然として、血と雪と人間の渦巻を見詰めておりました。
「まさかあの雪にと――思ったのが油断でした。いつも来る按摩だと思って油断をしていると、亥刻(十時)前から入り込んで、どこかに隠れ、夜中過ぎに離屋へ入って、年寄り夫婦を害めたのでしょう」
番頭の仁兵衛が、それでも一番冷静に、いろいろの事を説明しております。
「お、銭形の」
石原の利助は救われたような顔で迎えました。これだけ曲者に翻弄されると、我慢の角も折れて、銭形平次が唯一の頼りだったのです。
「目星は? 石原の兄哥」
「何にも解らない。笹屋の宗次の行方を捜しているんだが――、まさか兄の宗太郎が匿っているような事はあるまいネ」
「それに気が付いたから、ここへ来る前に、鳥越へ廻ってみた。そんな様子はねえ。宗太郎は小僧と二人で一生懸命雪を掃いていたぜ」
平次の真意はそこにあったのです。
「逃げ込んだ弟の足跡を隠すためじゃあるまいネ」
「何とも言えない」
「行ってみようか、銭形の」
「それもよかろう」
二人は、後を子分どもに頼んで、もう一度鳥越に引返しました。