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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁

青空文庫

「その若旦那に逢いたいが――」

平次は有無を言わせませんでした。すぐ奥へ通って、若旦那の金五郎に逢うと、興奮し切っているのも構わず、グングン問を進めます。

「昨夜、甚助の後を追って出たそうだが、どこへ行きなすった?」

「どこへ行ったって構わないじゃありませんか」

金五郎は突っ張りました。

「構わないようなものだが、――甚助は殺されていますぜ」

「自業自得さ。あんな悪い野郎はない。――誰も殺してくれなきゃ、この私が殺すはずだった」

金五郎の怒りは容易に納まりません。

「それはどういうわけで?」

「お糸をつけ廻して、ここへ寄り付かれないようにしたのはあの野郎ですよ」

「だが、その甚助が殺されているんだ」

「いい気味だ」

「その殺された甚助の後を追って、出て行ったお前さんにも疑いが掛らずには済むまい。もう少し前後の様子を話して貰えまいか」

平次は穏やかに話を進めます。

「金五郎、親分へみんな打明けるがいい。つまらない事を言うと取返しが付かないよ」

奥から、騒ぎを聴いて出て来た、主人の金兵衛も言葉を添えます。

「お糸を皆んなで邪魔にするから、こんな事になるのですよ。――お幾なんか、あんなすました顔をしているけれど、甚助をけしかけてどんなにお糸を苛めたかわからない」