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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十四)雛の別れ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁

青空文庫

「お袖を助けるのは、少しばかり骨が折れるが、やってみるか」

「やりますよ、親分。どんなに骨が折れたって、あんなピカピカする娘を捨てられるものですか。嘘でも一度はあっしの許嫁になった娘だ」

「相手が悪いから、一つ間違えると、命がけの仕事になるかも知れないよ」

「命がけ――へッ、親分の前だが、あっしはいつ命に糸目をつけました。憚りながら――」

「まあいい、今度はピカリと来ても、逃げ出さないようにしてくれ」

「あれは、不意だから驚いたんで、覚悟さえ決めてかかれば、味噌擂用人なんかに脅かされるものですか」

「その気でやってくれ。うっかりするとお袖の命も危ない。唄にまで歌われた通三丁目の糸屋の娘だ。二十八の馬鹿殿様と一緒にされるくらいなら、死ぬ気になるかも知れない」

「なるほどね」

「今までも、あの佐野という屋敷で、腰元が二三人死んでいる。馬鹿殿様の玩具にさせるにしては、人間の命はもったいない」

「行きましょう、親分」

八五郎の血は沸々と高鳴ります。

話はこれで纏まりました。

その晩、銭形平次は駕籠を吊らせて、芝、田町四丁目の佐野家の裏門に乗込んだのです。

「頼む」

「誰じゃ」