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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁
二
「その懐ろ鏡をくれた相手に心中立てをしているんだろう。お松を張るのは無駄だよ、八。いい加減にして止すがいい」
「そんなつもりじゃありませんよ。――あっしは、お松を助けようとも何とも思っちゃおりません。ただ、親分が訊くから、ちょいと話しただけで」
ガラッ八は急に堅くなりました。
「そうか。そんな遠慮があるから、小笠原流で番茶なんか飲んで、恐ろしく突き詰めた顔をしているんだな。いつもの八五郎なら、大変ッ大変ッと大変のつき物がしたように飛込むところだ」
「親分」
「いいよ、行ってみるよ。今日俺の方から出かけて行って、お松の縄を解いてやろう。もっとも、縄を解いても、お松はお前のところへは転げ込まないよ」
「親分――あっしはお松のことなんか何とも思っちゃいませんよ。ただこの一年ばかり、毎日のように顔を見て、お茶をくんでくれた相手だから――」
「毎日行ったのかえ、本当に」
「ヘエ、面目次第もありません」
「馬鹿だなア」
平次はそう言いながらも、立ち上がって仕度しました。
二
平右衛門町の現場へ行ったのは、もう陽が傾きかけてから。――死骸も取片付け、現場も掃き清めて、そこにはもう何の手掛りも残ってはいません。